当院ではCanon社の 光干渉断層計「OCT-S1」という最新のOCTを導入しました。(大阪府下では第3号機となります。)
光干渉断層計(OCT)とは、眼の奥にある網膜などの構造を画像化する眼科機器のことで、患者さん自身にほとんど負担をかけることなく眼底の断面図をミクロンレベルで繰り返し撮影することが可能な、非常に画期的な検査です。
当院が導入した「OCT-S1」にはAIが搭載されており、レーザー光源に波長掃引式光源を採用し、従来の機器では捉えるのが困難だった広範囲かつ深部に至るまでの眼底血管の三次元撮影を可能にしました。
具体的には従来機ではスキャン幅約 12mm、深さ約 2.0mm 程度であったものが、OCT-S1ではスキャン幅約23mm、深さ約5.3mmの超広角撮影が可能になり、硝子体から網膜・脈絡膜・強膜境界部までの広範囲を一度の撮影で高精細に画像化することができます。
高速スキャンが可能となるSwept Source(SS)方式を採用し、スキャン幅23mm 深さ約5.3mmの超広角撮影が可能となり、硝子体から網膜・脈絡膜・強膜境界部まで、一度の撮影で高精細に画像化することができます。
アレルギーの心配がある造影剤を使用することなく網膜・脈絡膜の血管を描出できるOCTA機能を搭載し、約80度の広角で血管撮影が可能です。
造影剤を使用しない検査の為、何度でも撮影することができ、早期に網膜の血管動態を把握することができるので加齢黄斑変性症や糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などの経過観察を正確に診断することが可能となりました。
非侵襲(目に触れない)で体に負担をかけることなく安全に検査することが出来るので、眼疾患等の早期発見や適切なタイミングで治療を行うことが可能となりました。
AI技術を用いたノイズ低減処理により、短時間で高精細な画像が得られます。
OTCアンギオグラフィー(OCTA)は光干渉断層計(OCT)を用いて眼底の血流を描出することができる新しい検査方法です。
フルオレセイン蛍光眼底造影検査(FA)やインドシアニングリーン赤外蛍光造影検査(IA)とは異なり、造影剤を使用しないので造影剤によるアレルギーや副作用の恐れもなく、短時間で検査が可能となります。
OCTAの原理は、高速スキャンで動きのあるもの(血流内の赤血球)のみを抽出して、「血液が流れている血管を抜き出して画像化する」ことです。
糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性などの眼底の病気は血管の状態を評価することが必要です。
従来は、腕の血管から造影剤を注射し眼底カメラで撮影する検査(蛍光眼底造影)で、血管の形態や機能を評価していましたが、造影剤はアレルギーによるアナフィラキシーショックなどのリスクがありました。
OCTAでは、造影剤を使用せずに網膜や脈絡膜の血管形態を評価可能になり、腎臓病患者、高齢者、アレルギーのある方でも副作用無く安全に検査可能になりました。
当院でもこのOCT-S1の導入により、上記疾患へのアプローチがより簡便となり、レーザー治療や硝子体注射等のタイミングの判定や眼病疾患の経過観察に有用な検査となっています。
OCT-S1では造影剤を使用せず、繰り返し検査を行うことが可能ですので、早期に病状を把握することができ、最善の治療タイミングを見出すのに有効で、患者様にとっては負担の少ない非常に優しい検査となっております。
OCT-S1による広角で鮮明な網膜
従来機に比べ、広角に撮影することができ、糖尿病網膜症や静脈閉塞症の病態評価を短時間(20~30秒程度)で行うことができるようになりました。
造影剤の漏れなどの影響がないので、フルオレセイン蛍光造影(FA)では漏出した造影剤で隠れてしまう血管でも、血管構造を鮮明に描き出せる利点があります。
FAと比較すると、OCTAでは無血管野・新生血管がはっきりと検出でき、これまででは分からなかった細部の血流評価が可能になりました。
蛍光眼底造影 | OCTA | |
造影剤の使用 | あり | なし |
撮影の簡単さ | やや煩雑 | 簡便 |
深さ別解析 | できない | できる |
撮影範囲 | 広い | やや狭い |
解像度 | 普通 | 高い |
蛍光漏出・プーリング等の機能的解析 | できる | できない |
蛍光漏出等による画像の不鮮明化 | あり | なし |
時系列による評価 | できる | できない |